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キャリアの軌跡 忠田 正樹

何のために、誰のために、何をしているのか


医師としてのターニングポイントは?


当時の医局のあり方で当然のことでしたが、昭和57年に教室の命令で現在の日赤病院に赴任したことが、私の人生の契機になったのは間違いないでしょう。

しかしその直後、個人的なことながら当時3歳の私の娘が脳腫瘍を発症し二回の大手術を受け、その後少々の心身の障害を抱えたことも、私自身の医師としてのスタンスに大きな影響があったと思っています。


もちろんお勧めできる体験ではありませんが、生意気で自己中心的で上から目線だった若い医師が、患者や家族の立場と気持ちを真に理解するには十分で貴重な経験でした。

以来、私自身その経験を生かして、赴任した日赤病院では患者に対して真摯に取り組んできたつもりです。

 

医師としてのキャリアを積む上で最も大切にしていることは?


もともと私自身は研究志向ではなく、現場主義の臨床志向でした。ですからいつも患者の話を聞き、患者の所見をとることを第一に考えてやってきました。それと上昇志向は持ち合わせず、もちろん院長になろうなど思ってもいませんでした。(もっとも最近は総合病院の院長など誰もなりたくないでしょうが。) それはともかく、いずれにしても医師として大切なことは、志(こころざし)をしっかり持っておくことです。 「何のために、誰のために、何をしているのか」ということです。 当然、私利私欲のためでなく、できるだけ対象や目標を広く大きく持ってください。そうすれば自然とやりがいと生きがいのある仕事がどんどん目の前に現れるでしょう。それを淡々とやってゆけばいいのではないでしょうか。


 

これから医師としてキャリアを積む後輩へのアドバイスは?


前述の「志」とも関係しますが、みなさん自ら、「医師とは何か?」と問うて見ることを勧めます。 最近評判の本 P.ドラッカーの「マネジメント」によると、企業(この場合は病院あるいは医師個人)の目的や使命は、顧客(同じく患者その他あなたの相手)は誰かを考えて、定義される、とあります。 すなわち、医師(あなた自身)をどのように定義するか、です。 そもそもあなた自身の顧客(相手)は誰でしょうか? 患者はもちろんですがその家族、親戚、知人、そしてあなたと同じ職場で働く看護師、事務員、検査技師、薬剤師などなど、さらには目に見えない社会の目、好奇心の目、誘惑の目もあるでしょう。 そうしたあなたの相手(顧客)を満足させ、納得させることが、あなた自身の医師としての使命であり定義なのです。 それが分かった時、一般社会で立派に通用し、敬意を持たれる医師になれるはずです。 頑張ってください。

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目標は遠くに置き、多面的に考えながら、楽しんでやって行きましょう。 1986    大阪大学卒業 1986-1989 大阪大学医学部付属病院  研修医:泌尿器科・ICU、 大阪府立病院 レジデント:麻酔科 1989-1992 倉敷中央病院:循環器内科 1992-2006 名古屋大学 大学教員 集中治療部、救急部、救急・集中医学講座、 卒後臨床研修センター 2006  倉敷中央病院: